「今日の練習長かったね」




風華の言葉に相槌を適当に打つ。
今日の練習は、いつもより10分ほど長かった。
帰りがその影響で遅れてる。
着替えに集合に顧問の話と、
玉突きのように時間が押されていったのだ。






「お腹すいたねー」






    
今度は郁。
二人とも、練習時間の話とか以外は
バレーの話題を出さない。
微妙な関係だと思う。







誰かが言い出す前に話題を慌ててかえる。
他愛のない話で駅までの10分は
そうやって、うめつくされていく。







他のクラスのまとまりは、
バレーの話をして帰ってく。

 




さっきのボール、誰がとる?
何々、スパイク良くなった!
トス、もうちょっと高めの方がいいと思うよ。






私たちは歪んだ関係を綺麗に見えるように
するのに必死で、仲間とかそんな意識はない。









私もそういう話がしてみたい。
自分も言ってもらって相手にも言えて。
 






コートに入れていない、私と風華と郁。
同じポジションの私と風華。
どちらかというと風華が好きな郁。
風華が嫌いな私。
たぶん、私が嫌いな風華。






面倒な関係は未だ面倒なままだ。







そういうの関係なく、
バレーのことが好きだから、バレーの話するとか
仲間意識とか、そういうものがあれば良かった。










でも、それを望むのもおかしいのかもしれない。
仲間意識とか。
まだ中学生はそれほどまでに
成長してないんだ。 
クラスの友達や部活の仲間や、
全て繋がってしまっていて
どこかで失敗したら、全てがダメになるのだから。