うちの部は、毎年県ベスト8ないしベスト4に名を残す、地元ではちょっとした有名な部。
いつも甲子園まであと一歩のところでまでしかいけない。
私立高校の壁は、厚いのだ。
「おい、マネジは??今日少なくねぇか??本来何人だっけ」
「さぁ。本来なら登録されてるのは5人。本日は1人のみ参加です。どーせサボりっすよ...アイツらなんて、3年生いなくなった途端に」
そう、問題なのはマネージャー。
ほとんどが“かっこいい野球部の先輩”や“高校野球のマネージャー”に憧れて入部してくる。まぁ、それが悪いこととは言わんが。
マネジの仕事は甘いもんじゃない。特にうちの部は厳しい方やと思う。
だからすぐに練習にこなくなる。
それならいない方がマシだと俺は思う。
「佐山さん、そう言えばこないだの子、どうなったんすか?マネジ」
「あぁ、返事待ち〜。次の試合、来てくれたら」
あの子ならきっと大丈夫。
俺らの試合を見ている時の、キラキラした子どものような目が忘れられない。
純粋に野球が好きで、野球を楽しむ姿。
もっと近くで野球を見せてあげたいと思ったんだ。