「先生、私野球部に入ったの」
そう言えば、大きな目をまん丸にしてこっちを見てくる波野先生。
正確に年齢を聞いたことなんてないけど、多分30代の後半。
「...しんどくなったりとかはない?」
「今のところ何もない。ただ、病気のことはなにも言ってない」
「僕にそう言ってくるということは、言ってないことに後ろめたさが...」
あるよ。そりゃぁ、ある。
なぜなら、まだ再発の可能性が消えたわけじゃないから。
なにかあったら、困るのだ。
困るから、助けてもらえる環境がないといけない。
「言えないなら、許可はできないよ。厳しいことを言うけれど...」
先生だって、私を縛りつけたいわけじゃないのは分かる。
だから...
「わかった.....」
私は決断をした。