「とりあえず、一ヶ月でいいや。それで判断して。俺、いい兄貴だって認めてもらえるように頑張るからさ。」
彼は人差し指を立てて、ニカッと笑った。そして、大きな口に残りのサンドイッチを放り込んだ。
「さぁ、記念すべき初めての朝食です。」
ビリビリとまた新しい袋を開け、差し出したそれが、私の好きなツナのサンドイッチだったからか。
暖かな春の日差しと鳥のさえずりが脳を麻痺させたのか。
パクリと食べたその一口がいつもと変わらない味だったからか。
「美味しい?」
「美味しい、です。」
少しだけ、彼を受け入れている私がいた。
平凡な毎日だった。それは変わるはずのないものだった。
でも、二人で同じものを食べたこの瞬間。
名前も知らない私たちは、期限付きの家族になったんだね。