「じゃあ、好きな食べ物は?」
「‥サンドイッチとオムライス。」
「オムライス俺も好き!サンドイッチは何味が好き?」
「ツナ。」
「俺も!好きなものは後に残して食べるタイプだからさ、ほら!」
「好きなものは先に食べます。」
「まじ!?ちょ、俺のツナはあげないからね!」
「‥‥いらないです。」

半分ほどゴクゴクと水を飲み、それを私に差し出す。

「何飲む?これでもいいけど。」

「いや‥‥これにします。」

目の前にあったいちごみるくを指差して言った。

「甘党?」
「そうですね。‥‥好きな食べ物は?」
「肉!それと甘いものならなんでも!」
「じゃあ、嫌いなものは?」
「そんなにないよ!‥‥ピーマンとセロリとナスと納豆と‥‥」
「沢山あるじゃないですか。」

子どもみたいだ、と思わず笑ってしまった私に、彼は目を輝かせた。

「笑った。」
「‥‥そりゃあ、たまには笑うんですよ、人間だし。」
「色んな笑が見たい。楽しみだ、これから。」

なんだか。久しぶりにこんなに優しい言葉をかけてもらった気がする。いや、誰かと話したことすら、久しぶりの出来事だった。

いちごみるくの甘さが口いっぱいに広がる。なんだかそれが心地よくて、少し、幸せだと思った。