ある日、私は殺された。
真っ暗な夜、"あの街" で。








幼いときからずっと、私には友達がいなかった

パパの度重なる転勤と、再婚が原因。

パパは昔から私にだけは優しかった。
でもママには暴力があったらしい。パパには "裏の顔" があるって。
だからママは私が10歳の時、家を出て行った。
その話を聞いてからずっとパパの "裏の顔" がどんなものか、ずっと気になって、あまり信用できない。

パパはお酒が入ると、母の悪口ばかり言っていた。
私が聞きたくないような言葉もなんのためらいもなく発する。
デリカシーや、気遣いがあの男にはない。



でも、そんなある日。
ひどい雨が降った日。
不吉な知らせが舞い込んだ。


・・・


ジリリリリ ジリリリリ・・・


カチャ

「もしもし?レミちゃん?ななこおばさんだけど。」

その電話に出た時
とても不吉な予感がした。

「……ななこおばさん?なに?どうしたの?」

「……レミちゃん、落ち着いてね。私だって落ち着いてるわけじゃないんだけど……」

ああ、そんなフラグを立てられたら大体分かってしまうよ。



「...はい?」

「…お父さんがね……マサルが…交通事故でね……亡くなったの…」

「え?」

なんとなく分かってた。
だってあんな言い方されたら結論が出る前に分かっちゃうよ。

"え?"なんて嘘。
私は心の中で、"ああ。"
としか思えなかった。

「いい?レミちゃん。私今から迎えに行くから。家で待っててくれる?すぐ行くから…!誰か来ても絶対家に入れちゃダメだよ…!私が行くまで絶対にね…!」

……?

それは一体どういう意味?

ななこおばさんはなにが言いたいんだろう。
でも、ななこおばさん焦ってるよね。


…理由は後で聞けばいいや。



「分かった。待ってるね…」

「じゃあ、切るからね…!」




……ああ。パパ。
私を一人にして死んでしまったの...?
私はこれからずっと、ずっと1人なの?

電話の前で膝を抱えて座り込んだ。
これからどうなるんだろう。
施設にでも入るのだろうか?
それともおばあちゃんの家に?
ななこおばさんの家かなぁ。


あぁ………。


私…




ひとりぼっちだ……。



ガチャガチャ



え...?
誰.......?

鍵は閉めてたはずだよ.....?



「な...ななこおばさん...??」


カチャッ


やばい。
ドア開いたんだ……。

この家の鍵を持ってるのはパパと私だけ。
ってことは………



"ななこおばさんじゃない可能性が高い"

タン タン タン

入って来た。
近づいてくる……
誰なの……?





「レミ?」


…え?
この声は…




パパ…?