「…貸して、それ」
急に凪原が今までより少しトーンの落ちた声で私に言った
そして私の返事を聞く前ににすっと、私の首にかかっていたタオルを奪いとってしまった
『!でもさっき沢山女子からタオルとか飲み物とか渡されてたのに。』
どこから持ってきたのか仮にも授業中だというのにスポーツドリンクや手作りのお菓子、タオルを持って凪原や他のサッカー部連中を囲んでいた他クラスの女子の様子を思い返す。
他クラス合同の体育の上、雨でグラウンドが使えないせいで体育館にいる凪原達と同じ空間を過ごすことは、他クラスの彼女達からしたら奇跡に近いのかもしれない
「俺、あの人達のこと知らないし」
彼女達のものとは違った、何の変哲もないどこにでもあるようなタオルでさえ凪原が器用に汗を拭くと特別に見えた
「…それと、話してる時によそ見なんてそんなに俺の後ろに気を引かれるものでもあった?」
凪原越しに通りかかった男子達を気にしていたことに彼は気づいていた
だから彼は…
『すごくいい性格…』
呆れたように彼を軽く睨む
