ただあの時、無表情な彼の色々な表情が見たいと思った
彼の穏やかで静かでそしてひどく退屈な湖
の水面をかき回したくて、なぜか私にならそれができる気がしていた
でも、これじゃまるで、
私の方が凪原にかき回されているみたいじゃないか
自分の頬がどうしてこんなにも熱いのか私はまだ気づきたくなんてない
気づけばきっと苦しむだけなのが私には分かるから
「…あれ凪原と喋ってんの3組の有明さんじゃん
やっぱめっちゃ可愛いわ 俺のクラスの女子とは全然違うわー」
「ちぇー、凪原だからなんも言えねーわ
あー、有明さんからタオルもらえたら俺死んでもいーわ」
「ばーか 」
ふと凪原の後ろを通り過ぎた他クラスの男子達の会話が耳に入り、こんな状況のせいか、普段なら気にも留めないのに思わず彼らに視線をうつす
「…!今、目あった やべぇ まじ可愛い」
顔を赤らめる男子を見て、私も彼のように凪原の前であんな顔をしたのだろうかと思うと余計恥ずかしさがこみ上げてきた
