「やっとこっち向いたな。」
少し勝ち誇ったように薄く笑う凪原の顔がそこにはあった
遅いんだよ、の一言のあとコツンと優しいデコピンが私のおでこに飛んでくる
胸がキュッと縮んだ気がした
どうしてこんなに息苦しいのか
『…本当に性悪。』
ジャージの袖で弾かれたおでこを擦りながら小声で呟く
「普通に聞こえてるんだけど、わざとってことでいいわけ?」
凪原が、なおも余裕げな顔で私を見下ろす
こんな彼と私の様子を一体何枚のフィルター越しで見れば、男女の関係に見えるのだろうか
でもそんな考えとは裏腹に弾かれたおでこが熱を帯びていく
「…有明、お前顔赤い。」
察しの良い凪原は私が試合をちゃんと見ていなかったことも、私の顔が赤く染まっていることも見逃さない
一体、彼は、凪原は、こいつは、
何なんだろうか
