「奏人、邪魔」
同じくサッカー部の凪原 司が軽く中川を睨む
続いて三宅、桜井と続いて帰ってくる
みんなサッカー部で、学年の男子の中でトップのグループだ
「っんだよ…、司 。 朝から低血圧なのか?あ?
女子達がなんかやってたみたいだから聞いてたんだよ」
中川が凪原に負けじと言い返す
廊下には彼らのために他クラスの女子まで集まって来ていた
「決まったの?」
察しがいい凪原が私達に視線を向けて無表情に尋ねる
「そうそうー、今朝新しい子決めたのっ
じゃーん、河口さんでーす」
茶目っけたっぷりの菜々の背中越の河口さんに男子の視線が集まる
「うわー、派手にやってんじゃん」
三宅が苦笑いする
でも本当に苦笑いしてるわけじゃない
苦笑いのふりだ。 本当は内心、新しい展開に期待してる
「女の子ってこういうとき怖いな」
桜井が河口さんから視線を離さずに言う
みんな憐れみの目を河口さんに向けるが誰も助けようとはしない
「菜々が決めたんだろ? 俺らは余計な口出しはしねーよ。な、司?」
中川がにやりと笑って凪原の肩にもたれかかる
普通こういうとき、男子が助けに入る展開が多いけどここじゃそんなことはない
「暑苦しい」
まゆを寄せながら中川の腕を払い除ける
こう見えても2人は仲が良いらしい
凪原も中川には気を許してるみたいだ
