自分だけじゃなくて有明にも自由なってほしかった 有明には無表情より笑った顔の方が絶対に似合っている気がしたから だからそっと彼女の目の端に浮かぶ透明な滴を拭ってやった 自分の胸におでこを押しつけて、やっと誰かに頼ろうとしている有明が健気に思えた そっと頭を撫でるとさらりとした細い髪が指をすり抜けてはらはらと落ちていく 有明の優しい匂いがした