「有明！！」
『……はい。』
いつの間にか先生が私の前まで来ていて大きな声で名前を呼んでいた。
「英文、読んで訳してくれ
どうしたんだ？有明が授業中ぼうっとしているなんて珍しいぞ」
先生が奇妙なものを見るような目で私をジロジロ見た
周りもガヤガヤ騒がしい
私としたことが、授業中まで凪原のことで翻弄されるなんて
悔しさをさらに募らせながら当てられた英文に目を通し、相変わらずの周りからの視線を振り払った
『It takes a long time to recover from
a broken heart.』
『…傷ついた心を癒すには時間がかかる。』
「うん、よろしいよろしい 次から気をつけてな」
先生は満足そうにいってまた授業を続ける
なにこの英文…
まるで今の私に向けて言っているみたいだ
英語の教科書にまで馬鹿にされてる気がして、その日以来私はその教科書がちょっと嫌いになった
