遅れてガンッと頭に襲ってくる衝撃に私はぎゅっと目を閉じた
頭がガンガン痺れたけど、硬球じゃなかったのがラッキーで気を失うほどではなかった
足を踏ん張ったつもりが頭を襲う猛烈な痺れによろけて凪原に倒れかかってしまった
ふわっとキャッチされたけど立ていられなくてしゃがんでしまうのに合わせて凪原が抱きとめてくれた
視界が凪原に覆われて真っ暗だ
中川や桜井は香水をうすくつけていて、すごくそれがいい匂いがすると菜々が顔を赤らめて騒いでいたのを思い出したけど、今私を包む柔軟剤の優しい匂いの方が私は好きだと思った
「咲希?!!」菜々が絶叫する
「咲希、あんたなんて無茶を…」
美帆の痛々しそうな声が聞こえる
「ちょっと!あんた達!誰にぶつけたか分かってんの?」
朝陽が廊下の先にいるキャッチボール連中に怒りをぶつけている
これに怒鳴られたらひとたまりもないなと苦笑いしてしまう
今までターゲットに対してこの3人がやってきたことを見てきたけど、逆に誰かを心配したり誰かのために怒ったりできる彼女達をきっと私はこの先も嫌いになれないだろうと思った
