「…有明? 突っ立ってなにしてんの」
凪原が自分より背の低いわたしを見下ろして怪訝そうに尋ねる
凪原越しに廊下の先に目をやると暇な男子たちが長い廊下を生かしてキャッチボールをしている
彼らと今、入れ替われたら…なんて思ったりする
「でさー、そいつがめっちゃ面白くて…ってあれ司…と有明?帰ったんじゃなかったのか?」
なんともタイミングよく中川達が教室から出てきてしまった
きっと密会だのなんだのとしばらくネタにされるんだろう 河口さんほどではないけど私もついてない
もう誰の質問にも答えず帰ろうと、凪原が今来た方向に足を動かしかけてこちらに向かって飛んでくるボールに気づく
みんなが目を見開くのが分かる
キャッチボールをしていた男子達は中川によってどんな処分が下されるんだろう
彼らも私もついてないな なんて呑気なことを考えながら、私は凪原を突き飛ばした
