有明とかかれた表札をもう一度見て、名残惜しくも自分の家に向かって夜道を歩き始める
今日は、なんだかとても長い1日だった。
それでも、とても幸せだった。
有明がずっと考えていたこと
今まで分からなくてもどかしかったこと
家族のこと
そして、なにより有明が自分と同じ気持ちでいてくれたこと
先ほどまで当たり前のように、有明に触れていたけど、思い返すと全て夢だったのではないかと思うほど実感が湧いてこなかった。
自分が有明のことを想って苦しんでいたとき
同じように有明も悩んで、俺のことを信じると決めてくれた。
この世界の中に、自分のことを心から信じてくれる、
好きでいてくれる人がいるなんて
どうして、他に嬉しいことがあるだろうか。
なにをしても虚しくて、満たされなかったこの胸が、温かいものでいっぱいになっていく気がした。
しばらく歩き続けていると、背後を誰かにずっとつけられていることに気づく。
大方、それが誰であるかは予測がついていたため、驚きはしなかった。
電柱の蛍光灯の下で、足を止めると振り向いてそいつに声をかけた。
「…なに」
