神社を出て、赤いちょうちんを頼りに夜道を歩いていく。
凪原が潰れてしまわないか心配で、体重が軽くなるはずもないのにぎゅっと身を縮めて、その背中にしがみついていた。
運動部らしい、細身だけどしっかり鍛えられた凪原の背中にどきっとする。
頬にさらさらの真っすぐな黒髪が触れるのがくすぐったい。
凪原がいつも見ている高さの景色が新鮮で、長身の彼を羨ましく思った。
ちょうちんからにじみ出るほんのりオレンジ色の灯りを受けて、アスファルトに私達2人が重なり合ったおかしな形の影が映っている。
いたずら心に、指で彼の頭に角を2本生やすと、地面の影に映し出されて面白かった。
凪原もそれに気づいたらしく、わざと影のない場所を選び歩いて私に対抗してきた。
「…ひとつ聞いてもいい?」
歩きながら、凪原が背中越しの私に声をかける。
『…いいよ』
「どうして、俺を避けたの」
凪原にとって一番の疑問はそこだろう。
何を聞かれるか、少し怖かったけど、それはきちんと説明して謝らなければならないと思っていたから、むしろ話すきっかけを与えてくれたことがありがたかった。
遠くの夜空を見つめながら静かに話し始めた