中川がその場にいたら、相当に悔しがっただろうなと想像できるほど、凪原の射的の腕前はすごかった。


あの強面の店主も、1発目で景品を仕留めた凪原を涙目ですがるように見ていたなと今思い出しても笑ってしまいそうになる。



残りの弾で、打ち方を教えてくれたけど私は1発も当てることができなくて、ちょっと悔しかった。


不純かもしれないけど、今のように後ろから包み込むように構え方を説明してくれたとき、緊張で胸の鼓動が止まらなかった。


大きな手で私の手をすっぽりと包み込んで、その綺麗な指先でトリガーを引く姿は絵になっていた。そのせいで、集中できなかったんだと、それを言い訳に採用することにした。





「その寂しげなところが有明に似てるなって」



手のひらの上にちょんっと座ったその猫をもう一度見つめてみる。



凪原に言われると、不思議とその猫に親近感が湧いてくる。




私も、こいつも、凪原に射抜かれたんだ。





あの真っすぐに澄んだ瞳に込められた、

強い光に。






捕まえた、と小さく呟いてそっとそいつを胸の中で大切にぎゅっと抱きしめた。




そんな私を見て、凪原が少し驚いて、でもすぐに優しく微笑んでふわっと猫と私を包み込んだ。







しばらくして、何かに気づいたように凪原がその腕を緩めると私の前に背中を向けてかがんだ。