ピーヒャララ ピーヒャララと、笛の音色がどこからともなく聞こえてきて、それに合わせるようにドンドンっと腹に響くようなズシリとした太鼓の音が響く。


夕暮れから夜に切り替わるちょうど境目で、赤い夕焼けが少しずつ群青色の闇に吸い込まれていく。


途中の道には、赤いちょうちんがぶら下がり、神社の名が刻まれた背の高い白い旗が風にはためいている。



神社に近づくにつれて、ぽつぽつと屋台が見え始め、家族連れや学生達の楽しげな声が聞こえてくる。




本当にこれで良かったのかな、と自分の装いに不安を覚えながらも突然のお願いでも嫌な顔せず嬉しそうにおばあちゃんが着付けてくれたんだし、近所の美容師のお姉さんが髪を結って、メイクまでしてくれたんだからきっと大丈夫と言い聞かせながら待ち合わせの鳥居の下まで歩いてきた。



自意識過剰にも、普段より道行く人に見られているような気がして、おかしなところがあるのでは、と余計に自信がなくなってくる。




去年のお祭りは、息苦しい浴衣が嫌で私服で行ったら、菜々にすごい剣幕で怒られたっけと思い出して苦笑いしてしまった。


途中で財布を落としてしまって泣きべそをかいている朝陽をなだめながら、唯一浴衣を着てなくて身軽だった私が必死に財布探しを手伝って、花火どころではなかった気がする。