「…あんた、誰。」
無意識に、声が低くなる。
ビー玉の瞳でこちらを見据える相手を、すっと眉を寄せて鋭く見つめる。
「咲希のこと、誰よりも1番理解してるのは僕です。
…そう言ったらあいつと僕の関係が分かりますよね?」
挑発するように、余裕の笑みを浮かべる相手の言葉がさらに俺に追い打ちをかけ、胸に鉛のような重みが沈み込んでいくような気がした。
ズンッズンと胸に沈み込むこの痛みはなんだろう。 底なし沼のように、黒々としたこの汚い感情は胸の底からとめどなく涌き上がり、おさまりがきかないようだった。
「ここ最近の咲希の様子がおかしいと思って菜々さんに聞いたら、先輩のこと教えてもらいました。
先輩が咲希をどう思っていたとしても、
あいつをあんな風に泣かせたあんたを
…僕は絶対に許さない。」
始めの穏やかな雰囲気とは打って変わって、目の前の見知らぬ相手は怒気を含んだ瞳で俺をキッと睨みつけていた。
でも、初めて会った気がしないのはなぜだろう。俺は、この瞳やこの眼差しを知っている。
「…ゆ…う!!! …悠!」
