「…凪原先輩ってこの中にいますか?」
奏人達と校門を通り抜けて帰ろうとしたとき、ふと見知らぬ人物に声をかけられた。
その声からは、表向きは礼儀正しく愛想の良さを装っているが、その内に何らかの感情を隠し持っているのを直感的に感じた。
「…俺だけど。」
その相手をまじまじと見つめる。
校門に気だるげにもたれかかるように立つ姿は、すらりとしていてその部分だけ絵のように切りとれるのではないかと思うくらい綺麗だった。
その証拠に、校門には黄色い声の人だかりが出来始めていた。
少し色素の薄い髪が陽の光を受けて輝き、風がその短い髪をさらりと揺らす。
その髪の隙間から覗く瞳は、優しげでビー玉のように澄んでいて美しかった。整った顔立ちのその人物はどこか見覚えのあるような気がした。
他校の制服に身を包んだ相手は、すらっとした細身で、自分より少し背の高い俺をじっと見つめてにっこり微笑んで言った。
