凪原に全てを聞かれ、振り切って逃げた後、お疲れ様会に顔を出すわけもなく家に真っすぐ帰った。


走りながら、なぜだか分からないけど涙が止まらなくてめちゃくちゃな顔をしていたと思う。

家に帰ったとき、迎え出た弟にびっくりされて、色々問いただされたけど、なにも答えない私を見て、弟は何も言わず黙って傍にいてくれた。



凪原が心の優しい人だと知っているから、私の気持ちを知り、その想いに答えられなくても、変わらず優しく接してくれるだろうことは想像できた。


その優しさに辛くなることも分かっていたから、後日私と話す機会をうかがっている凪原のことを避け続けて今にいたる。



夏休みに入れば、しばらく会わなくて済むからきっとその間に心の整理ができるだろう。

凪原も頭の良い人だし、いつまでも私を気にせずに忘れてくれると思う。



彼の背中を見つめながら、そうまとめたけどちくりとした胸の痛みからはまだしばらく解放されそうにない。