しばらくして、ふと目を開き体を起こそうとすると、全身に痛みが走った。
ずっとおかしな体勢で座っていたせいで、身体中の筋肉がこわばっていた。
コキッコキッと関節の音をさせながら大きく伸びをする。
窓から差す光はすっかりオレンジ色になり、相当な時間が経ってしまったことが分かる。
携帯をつつくと、不在着信が画面一杯を埋め尽くしている。しまったな、と思いながらそのうちの1つにかけ直すと、ワンコールで相手が出た。
『もしも「やっっと出た!! 何回かけたと思ってるの!! 心配したんだからね!!」
女の子特有の高い声で一気にまくし立てられ、思わず携帯を耳から離す。
『ごめん菜々。先生に雑用頼まれて今終わったところなの。連絡しようとしたら、充電が切れてしまって、電話に気づけなかった。』
電話の相手には分かるはずないのに、嘘をついた罪悪感からか思わず頭をさげる。
「雑用やらせてるの誰なのよ〜!!せっかくみんなでお疲れ様会やってるところなのに! とにかく、咲希いないとつまんないから早く来てね! 駅前のカラオケにいるから」
菜々は、少しぷりぷりしながらも納得してくれたみたいでほっとした。
「あ、それとね…、凪原君知らない?凪原君もまだ来てなくて、もしかして一緒にいる?…ってそんなわけないか! でももし校舎にいたら一緒に連れてきてね!じゃあね!」
こちらの返事も聞かずに勢いよくまくし立てた菜々の声の代わりに電話切れのツーツーっという音を聞きながら、まさかねと思いつつ今まで目もくれなかった自分の隣に視線を恐る恐る向ける。
思わず手の中の携帯をぎゅっと握りしめた。
