「…あれ? お前、そのタオルなんで今持ってんの?」
朝まであんなに降っていた雨が嘘のようにやみ、ジリジリと身を焦がす熱い夕焼けの光を背に奏人が不思議そうに尋ねる。
放課後の校庭は、朝の雨のせいで所々に水溜りが見られ、サッカーの練習には少々足場が悪かった。
監督が休憩を宣言すると、フェンス越しに応援に詰めかけた女子達から適当に受け取ったタオルで汗を拭きながら、奏人達3人が怪訝そうにこちらを見る。
しばらくして、そのきょとんとしていた顔に怪しげな笑みをうかべて、ははーんと奏人が俺の顔を覗き込んだ。
「さては、お前、ふられたな?
体育のとき、有明にその場ですぐに突き返されたんだろ?」
浅はかな奏人の推測に返事をする気にもなれず、浅くため息をついて見せる。
首にかかる自分のタオルがいつもより肌触りがよくて、心地よい。
