悪魔失格 – スクールカースト –

ふと以前菜々に付き合わされて放課後にサッカー部の練習を校庭のフェンス越しに眺めたときのことを思い出す。


私達以外にもサッカー部連中を目当てに来た大勢の女子達の黄色い声に耳を痛める中で、菜々がじっと校庭を走り抜ける中川を見つめながら教えてくれたことを繰り返すように言葉にする。



『これは、私なんかには想像できないくらいキツい練習と努力によって掴み取ったものなんでしょう? 』



凪原の手の中にあるタオルに刻まれた10という数字を見ながら言った。



凪原がタオルを握る手にぎゅっと力を込めるのが分かる。




応援する側は、ただ見ていることしかできないけど、ゴールを決めて活躍しているような華やかな面だけじゃなくて、少しでも奏人の辛さとか大変なこととかも知っていたいなって思うんだよね。


そう言って照れたようにフェンスを握ったまま中川を見つめる菜々の姿が今でも忘れられない。




『凪原君がそうやって苦労して手に入れたものだから、私もいつも助けてくれるお礼と応援の気持ちを込めて洗ったから』


もっと大切にしないとだめ、なんてちょっと偉そうにしてしまったことを言い終えてから後悔したけれど、それを誤魔化すように小さく微笑んだ。