『それって、どういう意』
言い終える前にバサッと視界が遮られる
それからふわっと覚えのある優しい匂いと柔らかい感触が私を包んだ
「お互い様な。」
そう言って、足音が遠ざかっていった
視界を覆うものをそっととると
特徴的な青と白のライン
そしてそこには10と数字が刻まれていた
サッカー部の部員だけが使っているタオル
そして奴の背番号 10
また、してやられたような気がして
『…やっぱり性悪だ…。』
小さな声で呟いて
そのタオルで顔を覆い隠した
さっきまでの天気は嘘みたいに
雲は過ぎ去り、太陽の光が一面に降り注ぐ
醜かった水たまりが、光を反射してキラキラと宝石のように輝いて見えた
まだタオルから顔を離せないでいる私
今度こそ、誰にも、凪原にも
この紅く染まる頬を見られてしまわぬように