小学校四年生の時、魁人が家出をしたって聞いて、
慌てて探しに行ったことがあった。

そんな時、ふと目に入ったこの空地に、
何故か魁人がいるような気がして。


『魁人~魁人~?いるなら返事してよ~』

返事はない。

やっぱりいないかあ、と思って帰ろうとすると、
後ろから誰かに突進された。

魁人だった。

『何しにきたの?』

『魁人を探しに来たんだよ!帰ろう!』

『・・・嫌だ』

『なんでよ!おばさん心配してるよ!!』

『・・・う、嘘だ・・・。だって母ちゃんは俺のこと嫌いだもん』

『どうしてそんな風に思うの?』

『だって母ちゃんは俺に怒ってばっかりなんだよ?』

『ははははっ、あのね魁人』

『なんだよ』

『それはね、おばさんが、魁人のこと大好きだから、怒るんだよ』

『は?』

『私だって、よく魁人に怒るでしょ?
 でも私は魁人のこと嫌いじゃないよ、大好きだよ』

『本当に?紗友莉、俺のこと好き?』

『うん、もちろん』

『・・・じゃあ、帰る』

『一緒に帰ろう!』