柔剣道場を出て、本校舎に向かって皆で走った。
D組の綾音とさくらとは途中で別れ、B組の教室まで絵里香と喋りながら歩いた。
教室に入ると、既にクラスの半分くらいが来ていた。
そのうちの3分の2くらいはもう読書を始めている。8時20分から40分は読書タイムといって読書をしなければいけない時間だ。
自分の席にカバンを下ろすと、教室の隅のロッカーの前に女子が数人固まっているのが視界に入った。丁度私のロッカーの前。
その中心にいたのは、梓だった。
「西村来たんだな」
いつの間にか来ていた隣の席の拓海に話しかけられた。普段そこまで話すほうではないけど、私は落ち着いて「そうだね」と返した。
梓は頭に包帯を巻いて、でも顔はいつも通りの笑顔だった。怪我は大したことなかったのだろう。
希望がLINEで言っていた“毒薬”の件は未だに嘘か本当か分からないままだが、誰も聞こうとはしなかった。梓を気遣ってのことだろう、私も聞く気になれない。
私はカバンから教科書類を出して机の中に入れ、空になったカバンを「ちょっとごめんね」と退いてもらい、ロッカーにしまった。
席に戻り、持ってきた文庫本を開く。
そういえば、和樹は来るんだろうか?
これもLINEで誰かが言っていた噂だが、初めに殴られて頭をぶつけた時に軽い脳震盪を起こしたとか。本当かは知らない。
やがて20分になり、読書タイムの開始を知らせるチャイムが鳴った。
結局和樹は来なかった。
まあ私には関係の無いことだ。
私はまた本の世界に入った。
D組の綾音とさくらとは途中で別れ、B組の教室まで絵里香と喋りながら歩いた。
教室に入ると、既にクラスの半分くらいが来ていた。
そのうちの3分の2くらいはもう読書を始めている。8時20分から40分は読書タイムといって読書をしなければいけない時間だ。
自分の席にカバンを下ろすと、教室の隅のロッカーの前に女子が数人固まっているのが視界に入った。丁度私のロッカーの前。
その中心にいたのは、梓だった。
「西村来たんだな」
いつの間にか来ていた隣の席の拓海に話しかけられた。普段そこまで話すほうではないけど、私は落ち着いて「そうだね」と返した。
梓は頭に包帯を巻いて、でも顔はいつも通りの笑顔だった。怪我は大したことなかったのだろう。
希望がLINEで言っていた“毒薬”の件は未だに嘘か本当か分からないままだが、誰も聞こうとはしなかった。梓を気遣ってのことだろう、私も聞く気になれない。
私はカバンから教科書類を出して机の中に入れ、空になったカバンを「ちょっとごめんね」と退いてもらい、ロッカーにしまった。
席に戻り、持ってきた文庫本を開く。
そういえば、和樹は来るんだろうか?
これもLINEで誰かが言っていた噂だが、初めに殴られて頭をぶつけた時に軽い脳震盪を起こしたとか。本当かは知らない。
やがて20分になり、読書タイムの開始を知らせるチャイムが鳴った。
結局和樹は来なかった。
まあ私には関係の無いことだ。
私はまた本の世界に入った。



