案の定、早く着きすぎた。
昨日は無かったけど、今日は朝練があるので私は柔剣道場の前で待っていた。時間にならないと鍵を開けてもらえないから。
私の所属する卓球部の練習場は、この柔剣道場の4階にある。1階は柔道場、2階は剣道場になっている。
3街は空いているので、卓球部女子が部室として利用していた。
特にすることもなく、入口の前の階段に座ってボケーッとしていたら、剣道部に所属している日向が来た。
私はいつもギリギリに絵里香と来ているから知らなかったけど、日向はいつもこんな早い時間に来てるんだ。
「おはよー、日向」
「えっ?!恋桃?今日来んの早くね?」
いや、いくらなんでも驚きすぎだよ。
私だってたまには早く来てもいいじゃない。
日向は荷物を下ろし、私の隣に座った。
「…それにしても、何でみんなあんな大騒ぎしたんだろ。涼平達に至っては殴り合いになってたし。前はあんなに仲良かったのになあ」
日向が素朴な疑問をぶつけてくる。
「んー…だからこそ、なんじゃないかな」
「どういうこと?」
「普段仲良かったからこそ、ストレスとか嫌なことを溜め込んでたんじゃないかってこと。その矢先にあんな事が起こったもんだから、溜め込んでたストレスとかが爆発しちゃったんじゃないかな」
「なるほどな」
とそこへ、日向と同じく剣道部の矢澤千奈美が来た。
千奈美とはクラスが違うため、そんなに仲良くない。
実際、喋ったことも数回しかないし。
「日向、望月さん、おはよう」
千奈美が人懐っこい笑顔で挨拶してくる。
私も出来るだけの笑顔でおはようと返した。
「おはよ。今日ってミーティングだったよな?」
「確かそうだった気がするー。…あー、竹刀担いでここまで歩いてくんの疲れるー!日向は自転車通学だからいいよねー」
「千奈美は家が近いから徒歩通学なんだろ?いーじゃん、俺んちなんかめっちゃ遠いし」
私は完全にそっちのけで、二人で話し始めた。
千奈美は日向のことが好きらしい。噂だけど。
お邪魔かな、と思い、そっと場所をズレた。
なんかやるせなくなって空を見上げた。
「なーに、嫉妬かぁ?」
「うわっ!」
いきなり話しかけてきたのは、日向同様幼稚園時代からの幼馴染み、細野健太郎だった。
「何よっ!びっくりするじゃん!」
「いや別にー?何かお前、日向と千奈美が喋ってんのすっげぇ目で見てたからさ~」
「はぁ?見てないし!日向のことも好きじゃないし!」
「嘘、嘘。冗談だよばーか。そんな怒んなって」
健太郎は大きな手で私の頭をクシャッと撫でた。
柔道部の健太郎は、体つきもガッシリとしている。
噂では腹筋割れてるとか。
「もう…」
そんなやり取りをしているうちに、鍵が開く五分前になった。
剣道部、柔道部はほとんど集まっていて、卓球部は私と部長くらいしか来ていなかった。
そして、時間になったのを知らせるチャイムと同時に、卓球部員もパラパラと集まり始めた。
絵里香もサブバッグを脇に抱えて走ってきた。
「エリ遅いよー!」
私が手を振る。
「れ、もん…早すぎ…はあ、はあ…」
私より運動音痴の絵里香は、この数十メートルの距離を走っただけで息切れしている。
幸い、ゆるゆるの卓球部では強制的なランニングや筋トレはないので、こんな運動音痴でも大丈夫なのだ。
チャイムが鳴ってちょっとした後、剣道部の顧問の先生が走ってきて、鍵を開けてくれた。
私達はぞろぞろと中へ入っていった。
昨日は無かったけど、今日は朝練があるので私は柔剣道場の前で待っていた。時間にならないと鍵を開けてもらえないから。
私の所属する卓球部の練習場は、この柔剣道場の4階にある。1階は柔道場、2階は剣道場になっている。
3街は空いているので、卓球部女子が部室として利用していた。
特にすることもなく、入口の前の階段に座ってボケーッとしていたら、剣道部に所属している日向が来た。
私はいつもギリギリに絵里香と来ているから知らなかったけど、日向はいつもこんな早い時間に来てるんだ。
「おはよー、日向」
「えっ?!恋桃?今日来んの早くね?」
いや、いくらなんでも驚きすぎだよ。
私だってたまには早く来てもいいじゃない。
日向は荷物を下ろし、私の隣に座った。
「…それにしても、何でみんなあんな大騒ぎしたんだろ。涼平達に至っては殴り合いになってたし。前はあんなに仲良かったのになあ」
日向が素朴な疑問をぶつけてくる。
「んー…だからこそ、なんじゃないかな」
「どういうこと?」
「普段仲良かったからこそ、ストレスとか嫌なことを溜め込んでたんじゃないかってこと。その矢先にあんな事が起こったもんだから、溜め込んでたストレスとかが爆発しちゃったんじゃないかな」
「なるほどな」
とそこへ、日向と同じく剣道部の矢澤千奈美が来た。
千奈美とはクラスが違うため、そんなに仲良くない。
実際、喋ったことも数回しかないし。
「日向、望月さん、おはよう」
千奈美が人懐っこい笑顔で挨拶してくる。
私も出来るだけの笑顔でおはようと返した。
「おはよ。今日ってミーティングだったよな?」
「確かそうだった気がするー。…あー、竹刀担いでここまで歩いてくんの疲れるー!日向は自転車通学だからいいよねー」
「千奈美は家が近いから徒歩通学なんだろ?いーじゃん、俺んちなんかめっちゃ遠いし」
私は完全にそっちのけで、二人で話し始めた。
千奈美は日向のことが好きらしい。噂だけど。
お邪魔かな、と思い、そっと場所をズレた。
なんかやるせなくなって空を見上げた。
「なーに、嫉妬かぁ?」
「うわっ!」
いきなり話しかけてきたのは、日向同様幼稚園時代からの幼馴染み、細野健太郎だった。
「何よっ!びっくりするじゃん!」
「いや別にー?何かお前、日向と千奈美が喋ってんのすっげぇ目で見てたからさ~」
「はぁ?見てないし!日向のことも好きじゃないし!」
「嘘、嘘。冗談だよばーか。そんな怒んなって」
健太郎は大きな手で私の頭をクシャッと撫でた。
柔道部の健太郎は、体つきもガッシリとしている。
噂では腹筋割れてるとか。
「もう…」
そんなやり取りをしているうちに、鍵が開く五分前になった。
剣道部、柔道部はほとんど集まっていて、卓球部は私と部長くらいしか来ていなかった。
そして、時間になったのを知らせるチャイムと同時に、卓球部員もパラパラと集まり始めた。
絵里香もサブバッグを脇に抱えて走ってきた。
「エリ遅いよー!」
私が手を振る。
「れ、もん…早すぎ…はあ、はあ…」
私より運動音痴の絵里香は、この数十メートルの距離を走っただけで息切れしている。
幸い、ゆるゆるの卓球部では強制的なランニングや筋トレはないので、こんな運動音痴でも大丈夫なのだ。
チャイムが鳴ってちょっとした後、剣道部の顧問の先生が走ってきて、鍵を開けてくれた。
私達はぞろぞろと中へ入っていった。



