お姉ちゃんに知られたら厄介だな…。

ああもうっ!


「何でもない!ごめんね騒いで!わたしちょっとマリッジブルーで、情緒不安定なんだか來乃に八つ当たりしちゃった!もう騒がないからお姉ちゃん部屋に戻って!わたしもう少し來乃と話すから!おやすみ!」


お姉ちゃんが何か言う前に、來乃の部屋のドアを無理矢理閉める。


「か、華乃姉…」

「來乃、あんた許さないからね」

「そんな!華乃姉、そんなに自分で書きたかったの?」

「違う!わたしは結婚なんて…」


しない、なんて言えないんだった。


「…華乃姉?」

「…なんでこんなことしたのよ。これ犯罪だからね」

「は、犯罪?!」

「当たり前でしょ。婚姻届を本人以外が書くなんて」

「だってあんなイケメンがお兄さんになるなら一刻も早い方がいいかと思って。華乃姉の気が変わったりしたらやだし。だから龍成さんも急いでたんじゃない?いいなぁ、イケメンにベタ惚れされて」


そんな理由で勝手にサインしたの?我が妹ながら呆れるわ…。ベタ惚れなんて微塵もされてないっての。


「明日から一緒に住むんでしょ?あたしも遊びに行かせてね!」

「いいから来なくて」

「なんで!てか、結婚おめでとう」


──あんたがさせたんでしょうが。


…はぁ…。本当に入籍しちゃった…。


明日からあいつと一緒に暮らすなんて、わたしにできるのだろうか。