「は?どんだけ早いんだよ。まだ朝だろ」

「なに言ってるの!もうお昼過ぎてるわよ!」


うわ、マジかよ。寝過ぎだろ俺。


「それで?電話でなに話したんだよ」

「あなたが挨拶に行くことと、お父様が出張から帰ってきたら桜庭さんのお宅に伺うことと、これからよろしくって」

「あとは?」

「電話だからそれくらいよ。あとは会社で桜庭部長に会ってまた話すわ」


げ。忘れてた、あいつの親父と麻友ちゃん、会社で会うんだよな。面倒なことにならなきゃいいけど…。


……仕方ない、こうなったら


「俺、早く会社のこと勉強したいんだけど」

「──まあ、龍成!あなたの口からそんな言葉が聞けるなんて!」

「次期社長として恥ずかしくならないようになりたいし、勉強するために挨拶が終わったら会社行くよ。それから二人で桜庭部長に会おう。麻友ちゃん一人より俺もいた方がいいだろ?」

「ええ、もちろん!お父様が聞いたらすごく喜ぶわ!」


背に腹は変えられない。面倒だけど会社にいれば麻友ちゃんとあいつの親父を見張れるだろ。