離婚前提策略婚。【改訂版】

…にしても綺麗だな。


オレンジ色の海。進めば進むほど海が広がり、視界全体がオレンジに染まる。

沈みゆく太陽はどんな手の込んだ演出より心を深く揺さぶった。


「龍成もいきなりオレンジ色だ」

「お前もだろ」

「あ、そうか。てかめちゃくちゃ綺麗!車停めるとこあるかな?海の近くに行きたい!」

「華乃ちゃん今いくつですか~?俺にはいいとこ小学生に見えるんだけど」

「こんな綺麗だと童心に返るって!あっ、あそこ駐車場じゃない?!」

「帰るぞ」


時間がねぇっつの。


「え?!ここまで来て?!もったいないよ!少しでいいから!お願い!」


両手を合わせ懇願する華乃。

──仕方ねぇな。


「…日没までは待てねぇからな」

「うん!さすが龍成っ!いい男!」

「調子よすぎ。いい男は元からですから」

「あはは。うざい」

「帰る」

「嘘です!ごめんなさい!」


海沿いにある駐車場に車を停める。

瞬時に車を降り、華乃は砂浜に走って行く。


──ガキ丸出し。マジで保護者の気分だよ。

その姿をしっかり目に留めながら俺はコンクリートの上を歩く。