「ど…どんな?お姉ちゃんに何を言ったの?!」


許せない!お姉ちゃんは何も悪いことなんてしてないのに…!


「華乃ちゃんには聞かせられないよ。とても女の子に言う言葉じゃないから」

「そんなに酷いことを…」

「始めは仕事が大変なんだなって思って励ましたり支えようとしたんだけどね。どうしても悪くなる一方で、あたしも精神的に限界だったし、あたしがいない方がかえって彼の為になるのかなと思って、婚約破棄しちゃった」


──お姉ちゃんのことだから軽い気持ちで破棄なんてしない。めちゃくちゃ悩んだ末に決めたんだ。


それはわかるんだけど…。


「後悔は、してない?」

「…ただ好きなだけじゃ、結婚は出来ないんだね。後悔はしないよ。…華乃ちゃん達が羨ましいな、仲良しで。出逢ってからの時間なんて関係ないんだね」

「それは…」


偽装結婚だから、なんて言えない。


お姉ちゃんへの嫉妬は計り知れないほどしてきたわたしだけど、いつだってお姉ちゃんの幸せを願っていた。

お姉ちゃんは必ず幸せになれる人だと漠然と思っていた。

やっぱり人生、何が起こるかわからない。