「旦那様に隠し事なんていい度胸じゃん」

「そ、そんなんじゃないから」

「じゃ、どんなんですか~?」

「気にしなくていいです」

「またそんなこと言ってると…」

「ほら!着いたから行くよ!」


マンションの駐車場に着き、華乃は瞬く間に車から降りる。


……マジで意味わかんね。


俺も車から降りると、華乃はトランクから荷物を取り出す。


「なんだそれ」

「え?なんでもない」

「重いなら持ってやろうか」

「重くないからいい」

「でもそれじゃエレベーターで手、繋げないけど」

「あ…」


右手に鞄、左手に荷物。なんでこいつはこんなにあほなんだ。

呆れて笑みがこぼれる。


「こういうのは男に頼った方が可愛いんだぞ」


華乃の手から荷物を奪った。


「あっ!あんまり動かさないでね!」

「は?何なんだよ、これ」

「……っ」


なんでそこで黙るんだよ。俺に言いたくない物ってなんだよ。


「行くぞ」