エレベーターの扉が開くと、龍成は腕を離してわたしの手を握り部屋まで歩く。

ずっと無言のまま。

わたしも言葉を発せない。


ドアを開け中に入ると手を離し、龍成は寝室に入ってしまった。


……な、なんだったの?


リビングに入るとソファーがあるにもかかわらず、床にストンと座り込む。

しばらく呆然とし、思考回路がゆっくり動き始めると、また大きく胸が高鳴り出す。


両手を頬に張り付け、顔が赤くなるのを止めようとしても、それは無意味に等しかった。


──あの男、本気でわけわかんない!わたしにはチャラ男の考えることなんてわかるはずないけど!


それにしてもなんなわけ?!いっ、いきなりあんな…!


普段のふざけた雰囲気じゃなかった。どうしたらいいかもわからなかった。


龍成のことだから、これだから経験のない女はって、今頃一人で笑ってる?


……わたしの気持ち、ばれてないよね?