離婚前提策略婚。【改訂版】

「華乃ちゃん?誰もいないし暗いから、ありがとうのちゅーくらいしてもいいんだよ?」

「黙れ」


…このやろ。

照れ隠しも度が過ぎてるっての。あいつと完全に終わって女を捨てたか。


若干イラつきつつも車に乗り、マンションに向かう。

あいつの話はしない方がいいよな。俺があの場にいたこと、華乃は知らないんだから。


「あ、三日後親父が出張から帰ってくるから、桜庭家に挨拶に行く」

「それってわたしも必要?」

「当たり前だろ」

「ちょうど休みだからいいけど…。わたし、龍成の両親に会ったことないから緊張するな」

「……」


会ったことが、ない?


「社長でしょ?なんかドジ踏んだら龍成がフォローしてよね」
 
「待て。俺の親に会ったことがないって、麻友ちゃんには会ってるだろ」

「だから会ったことないって」

「…電話で話したことくらいはあるだろ?」

「ない。わたしのお母さんは電話してたけど」


なんだそれ。


華乃と麻友ちゃんは会ったことがない?それで麻友ちゃんはどうして華乃を大和撫子呼ばわり出来るんだよ。

写真か?でも初め、華乃に俺の話をしたら気に入って結婚を了承しただの言っていた。電話で話もせずにそんなことはありえない。