そんな記念いらないでしょ。


──なんて思いながらも、何も言い返せない自分がいた。


それからまた無言になり、マンションに着くまでたまにナビをしてもらう以外会話がなかった。


──結婚して良かった。龍成がいてくれて良かった。


ムカついたり嫌いなところはいっぱいあるけれど、今心が軽いのは龍成がいてくれたから。

わたし、相当感謝してる。


口にしたら変に勘違いされそうだから絶対言わないけど、龍成を見るたび何度も何度も、胸の中でありがとうを伝えようとしていた。