離婚前提策略婚。【改訂版】

「それなら俺が仕事終わったら会社まで迎えに来いよ」

「え、面倒くさい」

「一人でここに来れるか?」

「わかったわよ!てか別にマンションの入り口で待ち合わせでもいいじゃん!」

「麻友ちゃんに仲良し夫婦アピールしとかねぇと。なんなら今会社まで送ってくれてもいいけど」

「ご遠慮しておきます」

「あ、そ。じゃ行くぞ」


玄関を開けたところであいつの手を引いた。


「ちょ、何すんのよ!」

「昨日みたくしがみつかれたらスーツが台無しになるだろ」


さり気なく手を繋ぐ。

こういうの、女は弱いよな。


あいつは何も反抗せず、手を繋いだままエレベーターに乗る。


「…スーツなんて着てると、本当にホストみたい」


下を向いて、あいつは繋いだ手に力を込めていた。


「俺が本当にホストになったら、確実にナンバーワンだな」

「どこからその自信が出るわけ?あ、今度寝室に入ったら警察呼ぶから!」

「は?呼んでどうするんだよ」

「襲われたって言う」

「あのな。昨日だって俺、一緒に寝ても何もしなかっただろ」

「キスしたじゃない」

「あれは寝室じゃないし、たかがキスで襲われたとか言っても警察は相手にしませんから。その前に俺ら夫婦だし」


─やべ、たかがとか言っちまった。