見上げると、由良が手を差し出してくる。
「もう肝試しはいいから花火するってさ。
俺らが最後らしいわ」
その手を借りて立ち上がる。
そのまま由良が手を引っ張り、教室を出る。
「あの、手……」
「……いまだけ」
「……うん」
何でか分からないけど、由良に握られた手にすごく安心する。
由良に好きな人がいるらしいけど、これはいいのかな?
でも、いまだけは悪いけどこの温もりを貸してほしい。
私のやり場のない気持ちでいっぱいな心を優しく包み込んでくれてるみたいだから。
私はそっと、繋がれた手を握り返した。
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