茶色がかった長い髪が、窓から通る風に揺れる。


顔にかかった髪を避けるように、そっと細い指で横の髪を耳にかける。



その仕草が艶っぽくてドキドキと加速する鼓動。





「あの……」



声を発すると、不思議そうに首を傾げる彼女。


それも無理はない。



同じクラスになって約1か月が経ったけど、俺は堀名と1度もしゃべったことがないんだから。



ゆっくり一歩ずつ近づいて、2メートルくらい前で止まって向き合う。