その時、おでこに何かやわらかいものが当たった気がして目を開いた。
でも、目の前には由良がいるだけでその正体は分からない。
気にしないことにして、由良を見上げる。
「ありが……んん!?」
「このまま、時間が止まればいいのに。
俺の腕の中にいる、このままで……」
急に由良に抱きしめられてテンパる。
肩に手を置いても離れなくて、由良が何か言ってたみたいだけど、プチパニック状態の私の耳には入ってこない。
離れない!
と思っていたら急にパッと離され、後ろ向きにバランスを崩す。
「危ねぇな。
髪についてた虫取ってやったのに、今度はこける気か」
「え、あ、そうだったの!?
あはは、ありがとー」
何だ、抱きしめられたと勘違いしちゃった。
由良がそんなことするはずないのにね。
「そろそろ帰るか」
「そうだね」
今日はすごく良い1日だったな。