ヘッドフォンアクター

そのとき、ヘッドフォンから

また声が聞こえた。

「あの丘を越えたら20秒で

その意味をいやでも知ることになるよ。

疑わないで。耳を澄ましたら20秒先へ」

間違いない。この「無名アーティスト」は

聞き飽きた私の声だ。

「私」が私を助けようとしている。

そう気づいた時には

町で一番大きな交差点まできていた。