半ばお母さんに追い出されるように、
庭に出た結愛と凜は互いに向き合っていた


「アドバイスをあげたいのはやまやまだけど、
結愛が今どんな感じかを見極めないと
何も言えないから、
まずはあの木に水をあげてみて

これならできるでしょ?
もう、高校生になったんだし
初歩の初歩だし」


長い間、妹の魔法を見ていなかったので、
さすがにできるだろうと一つ指示を出したが、
それは一時間ほど前に結愛が失敗していた
ものだった


「水の魔石よ我に従え 木々に恵みを!」

魔法を唱えながら、結愛は祈った
どうか、上手くいきますように、と

結果は失敗だった

結愛の魔法は一切発動しなかったのだ


「今、魔法使ったよね?」

「一応、そのつもり…」

「何も変わってないんだよね…
結愛、ちゃんと見ててね

水の魔石よ我に従え 木々に恵みを!」

結愛と同じ詠唱で魔法を唱えたのに、
凜はシャワー状に水を操り、
庭の木々に水を与えていった

「まさか、これもできないとは…
本当に結愛の愛称がいいのは水なの?

いくら、家族全員が水と愛称がいいからって
結愛まで水と愛称がいいとは限らないし…」


その後、結愛は水の魔法の扱い方を
お姉ちゃんに教えてもらったものの、
上手く扱うことは出来なかった