勇介は私の横に追いついて 無言で並んで歩く。 「――…北山。 サッカー部の基本は、 ダッシュが原則だ。」 少しの沈黙のあと、 私は監督の口調を真似て 勇介にそう言った。 少し…いや、かなり(笑)? ウケを狙った つもりだったのに…、 勇介はダッシュで 小走りを始めた場所に 戻っていった。 私は思わず足を止めて 後ろを振り返る。 勇介はピシッと 姿勢を正して 掛け声を待つ。