難あり編集者と極上に甘い結末


 思いがけない言葉に、ドクン、と胸が跳ねる。

 私の前から消えて、かと思ったら、忘れかけた頃に突然現れて。こんなことまで言うなんて、本当にずるい人だ。

「きっと、全部知ってると思うけど、俺は杏子と別れずに結婚をして、もう二度と杏子には会わないつもりで京都に転勤した。杏子は、それでも何も変わらないだろうって。傷つくことなんてないだろうって、思ってたんだ。それは、杏子は本気で俺と付き合ってるわけじゃないと思ってたから。ずっと、それが不安だった」

 情けない男だよな、と言って下手くそに笑う彼。私は、彼のこんなに弱い部分を見たのは初めてだった。

 彼の言っていることは、あの夜、私が聞いた言葉だ。彼は、私が酔っ払った勢いで告白をした為に、大きな不安を抱えていたのだろう。

「……拓未、覚えてるよね。私がここで、貴方に告白をしたこと」

「うん。もちろん」

「酔っ払った勢いで、拓未に〝好き〟だって伝えたこと、すごく後悔してた。だけど、あの時の私は、お酒に力を借りなければ、きっと、あの大きな気持ちを拓未に伝えることは出来なかった。でもね、あの時の気持ちに、一つだって嘘はなかった。本当に、本当に、好きだったの」

 ごめんね、と小さく零す。彼は、首を横に振ると口を開いた。


「俺は……今も好きだよ。杏子と、ずっと一緒にいたいと思ってる」