「そうそう。春川先生は京都の方だけど、確か参加を希望されたって噂で聞いたような気がするんですけど……って、噂をすれば早速」
平田さんが入り口付近に視線を移す。私もつられるようにして視線を移すと、そこには、歳は40前後であろう綺麗な女性がいた。
「沼川先生、挨拶行ってみたらどうです?」
「え、そんな、私なんかが……」
「ほらほら、いいからいいから」
平田さんがとんとん、と私の背中を押す。すると、あからさまにあたふたしている私が視界に入ってしまったのか、春川先生と思われる女性と目があってしまった。
「あ、ほら。もう行くしかないですよ」
いたずらに平田さんが笑う。私は、一瞬平田さんを見て眉間にしわを寄せたけれど、すぐに戻して春川先生の元に歩き出した。───しかし。
「春川さん、お待たせしました」
私の視界に突然入り込み、春川さんに声をかけたスーツ姿の男性。すらっと高い背に、メガネをかけているその見覚えのある姿に、私の足はぴたりと止まってしまった。
「沼川さん?」
背後から平田さんがそう呼びかけてくる。その声が聞こえてしまったのか、春川さんの隣に立つ男性は、私へと視線を移してしまった。

