「───好き、」
ぽつり、と溢れる声と涙。
認めてしまった瞬間、止められないほど大きな〝好き〟という気持ちが涙に変わり溢れた。
苦しい。辛い。悲しい。虚しい。
〝甘酸っぱい恋の味〟なんて、やっぱり嘘だ。恋って、本当はこんなにも苦しい。
ただ涙を流し、きつく、つよく、岩崎さんの服の袖を握り続ける。すると、彼が、私の背中に腕を回し、私をきつく抱きしめた。
「好きだよ」
私の耳元から聞こえる声。私は、彼の発した言葉を理解するまでに随分と長く時間がかかった。
「え? 岩崎さん、今何言っ……」
「好きだ、って言ったけど」
驚いて顔を上げ、岩崎さんを見る。彼は、私の問いに表情ひとつ変えずそう答えた。
「え、嘘」
「嘘じゃないよ」
「だって、岩崎さんは私の作品のために、ビジネスで〝俺に、恋をしてみたらいい〟って提案してきたんじゃ……」
「え? 俺、そんなこと言ってないけど」
「でも、否定もしなかったじゃないですか!それに、私、知代さんに聞きました。岩崎さんが、担当した作家さんは出世するんだって」

