「へぇ、全然気にしてないんだ」
「はい」
車の動きが止まる。ふと窓の外に視線を移すと、見慣れた景色が広がっている。どうやら、もう私の住むアパートの駐車場に着いたらしい。
「それはそれでつまらないな」
ほんの少し口角を上げて、そう呟いた彼が再び口を開く。
「でもさ。それなら、さっきはどうして目を逸らしたの? 俺には、少しは意識してるように見えたけど」
「……別に、理由なんてないです。それに、意識なんか一ミリもしてないですから」
痛いところを突かれて動揺してしまったけれど、それを彼にバレたくなくて、私は視線を逸らしながらそう答える。
「ほら、また視線逸らしてる。一ミリも意識してないなら、こっち、見られるよね?」
「だから、意識なんかしてないです!大体、何でそんなこと……」
彼の言葉は図星で、私の奥深くにある感情が浮き彫りにされるようで。つい、かっとなってしまった私は、無意識のうちに彼を見た。ばちりと合ってしまった視線に、私はしまったと心底思った。
絡まりあうように合ってしまった視線は、離すことなんてできなくて、私は既に彼の瞳に飲み込まれていた。

