「え、知り合いじゃないです。ただのお客様ですけど……」
私がそう答えると、岩崎さんは「そっか」と言って視線を戻す。
私は、どうしたんだろうと思いながらもレジを通し、お会計を進めた。
ふと時計を見ると時刻は〝22:59〟で、あの男性は、30分過ぎに成人雑誌を買ってから、ずっと外にいるのだろうかと少しの疑問が芽生えた。
「ありがとうございました」
「あ、これは君の。また時間があれば飲んでおいてよ」
コーヒー缶とカフェオレをレジ袋に入れて差し出す。すると、彼はその中からカフェオレを取り出して私に差し出した。
「え、そんな。い、いいです!岩崎さんが飲んでください」
何だか申し訳なくて受け取れないでいると、岩崎さんが更に私にカフェオレを近づける。
「いや、俺、コーヒーあるから。カフェオレ甘くて飲めないし。君、甘いの好きでしょ?」
「……分かりました。ありがとうございます」
岩崎さんの言葉に、なんとなく断りきれず、結局カフェオレを大人しく受け取る。すると、岩崎さんは「よろしい」と言って笑った。
「今日はバイト何時まで?」
「今日は12時までです」
「ふーん、そっか。頑張ってね」
「はい。ありがとうございます。また帰ったら連絡します」
私がそう言うと、岩崎さんは「了解」という一言だけ残して店の外に出て行った。

