難あり編集者と極上に甘い結末



 ───ピッ

「お会計、3点で468円でございます」

 見慣れた陳列棚を背景に、目の前の若い女性が財布を覗き込むと、そこから500円玉をとり出した。

 私はそれを受け取ると、レジ操作を淡々とこなし、お釣りを女性に受け渡す。

「32円のお返しです。ありがとうございました」

 普段、他人に笑顔を振りまくタイプではないが、お得意の営業スマイルとやらを振りまき、お客様を見届ける。

「まあ、本当に何度見ても慣れた手つき。早くもうちの戦力ね、如月さん」

「いやいや、そんな事ないです」

 揚げたてのホットスナックを販売ケースに移しながら、にこりと微笑むオーナー。私は、照れ笑いを浮かべながら首を横に振る。

「ふふ。でも、本当にレジ操作もさくっとしか教えていないのに……前に他の販売業でもしていたのかしら?」

「数年前に雑貨屋さんと居酒屋でアルバイトをしていたくらいです」

「あら、そうなの。だから覚えが早いのね。居酒屋なんて、特に大変でしょう?」

「そうですね。酔っ払っているお客様が殆どだったので」

 大学時代と、書籍化を果たしたばかりの頃にいくつかの派遣やアルバイトを経験した。どれもお金に困っていたから仕方なくしていたことだったが、今となれば、どのアルバイトも今のような場面はもちろん、創作をする時にも力になっているなと感じる。