太古からの習わし

未来ノ行ク末ヲ詠ム者…神ニ選バレン。
ソノ総称『神子』トゐウ。

神子、神ヲ守リ世界ヲ守ル。
故ニ、英雄。
イヅレ神子、死ス日訪レン。
死シタ神子、神聖ノ祠ニ落トサレヌ、
落チタ神子、人ノ地巡リテ、
次世代ノ神子ニ憑ク。

コレヲ永遠ト廻リ続ケン。


神子の運命なり。





太古からの習わしは、太古から守り継がれてきた。遂に私の番にあたる。
だが、私は出来るのだろうか。
『英雄』と言われ、『神子』の運命を持ち、それを果たし死んで行く。
私は、ただただ、怖い。



私は、『神久夜 祈梨(かぐや いのり)』。
『神子』を継ぐ一族…『神久夜 卑妖華(かぐや ひよか)』の子孫。つまりは、神久夜家に『神子』の運命を持つ事になっている。そのせいか、私は母を見た事が無い。でも、太古からの習わしのお陰で母は、私の心にいるんだと感じている。だから、寂しくない。


「祈梨様。神聖の祠の儀を…」

「分かりました。もう少々お待ち下さいますか?」
「分かりました。祈梨様」